地方で求められるCMS?
MODxのフォーラムに、「商用CMSにあってMODxにないもの」という、オープンソースとの違いについてのやり取りが書いてあった。目に付いたのは「更新履歴」と「承認ワークフロー」だった。この2点が持つ意味は、コンテンツの承認と責任の問題を明確にしておきたいという要望が見て取れる。簡単に言えば、コンテンツを誰が書いて、誰が承認して、万が一の場合には誰が責任を取るのか?ということが要求されているのだろう。
大手企業の場合などは確かに、たくさんの判子(承認)が必要でこうした要求もうなずけるが、必ずしもネット上のCMSに投稿されたものをネット上で判子をつく必要があるのかという考え方もある。部外者の見れないローカル環境、イントラネット上で、承認されたものをアップすればいいだけにも感じる。
また、役所などもたくさんの判子を必要とするだろうが、こちらは社会的には責任を取ることはほとんどなく、役所は間違いを起こさない前提なのだから、「承認ワークフロー」などが要求されたら、なんだか冗談のようにさえ感じてしまうかもしれない。まあ、現実には承認のための判子をたくさん押している組織ではあるだろうが、、、。
この「承認ワークフロー」を要求する向こう側に少し面白い現象が見て取れないだろうか?
CMSではなく、通常のホームページ作成ソフトを使用して作る場合、多くの企業はおそらく外部スタッフを使って作ってもらっていたはずだ。これは「ヘルパー」がいると同時に、「責任を押し付ける相手」が存在したということも意味している。ところが、CMSなどというものが登場して、フレームはともかく、中に書き込むコンテンツを自分たちが作るようになってしまうと、責任を押し付ける相手がいなくなり、自分たちが責任を取らざるを得ない環境を構築してしまったことに気づいていしまうのだ。確かにこれでは、ネット上で直接書けて、そのまま公開されるのでは、後で困ってしまうこともあると、想像に難くない。
オープンソースを使わない理由に「オープンソースが嫌いだ」という理由もあるそうだ。これはまさにオープンソースの本質を言いえて妙なのだが、オープンソースを使う場合には「自己責任で使用してください」というものが多いのだ。責任を取りたくない人たちは、明らかに「オープンノースが嫌い」なはずである。
さて、地方の中小企業においてはどうだろうか?
小さな会社でも確かに「承認」の判子が必要なことは多いだろう。しかし、それをホームページを制作する際にネット上のCMSの機能として必要で、そのために高い商用CMSでなければならないなどということは、ほとんどないだろうと思う。商用CMSがいくらするのかわからないが、1000万円以上もしていた価格が今は安くなってきていて、200万円や300万円になってきているようなことも書いてあった。地方の中小企業が、ネット上で判子を押すためにこんな費用をかけようとは思わないだろう。こんな金額は、CMSの費用どころではなく、制作費でさえその10分の1、5分の1というような予算に過ぎない。
第一、ホームページを作ろうとしても、実際には会社の中でかかわるのは、多くの場合、やろうとした経営者と担当者の二人というのがほとんどだろう。さらに、このホームページにかかわるお二人が、ワープロぐらいは使っているだろうが、基本的にホームページ制作などしたこともなく、普段使用しているオフィスソフト以外にはほとんど触れたことがない「ど素人」だということだ。
高度なCMSの側から川下の方を見てみればこんな有様だが、決して悲しむこともない。
今ではどんな小さな会社でもワープロぐらいは多くの人が使えるようになっている。たかだか20年や25年前なら、書類を作るときには「ワープロ屋」さんや「タイプ屋」さんに頼んでいたのだ。それが(どこの会社からも、ワープロは消えてしまってすべてパソコンになってしまったが)ほとんどの人が上手い下手はあるにしても使えるようになっているのは大きなことなのだ。しかも、多くの場合、ADSLぐらいはつないであって、インターネットを見られる環境にはなっている。こんなことはほんの5年前には考えられなかったほどだ。基本的なインフラがどんな小さな地方都市でもほとんど整備されてきていて、CMSを利用したホームページ制作をやろうと思えばすぐにでも取り組める環境ができているというのは大きなことだ。
そこで一番求められるCMSの性能はなんなのか?
やはり「誰でも簡単に使えること」ではないだろうか?別な言い方をすれば、「ワープロ程度の技能で使えること」かもしれない。ホームページ作成ソフトなど覚えることもなく、新たに学習する負担が少なければ少ないほどいいということになるだろう。こうして考えてみれば、今現実にこれらの要求をすぐにも満足させられるものは「ブログ」だと気が付くはずだ。まずはとっかかりのCMSとしてブログはすでに要求を満足させるに足るCMSとして機能している。これを使わない手はないのだ。
ブログが使えるとは言ってもさすがにちょっと気になる点があるのは否めない。
通常のブログの「日記機能」だけでは、いわば一般のホームページの体をなさない。何しろ、書いたものが次々に後ろに送られてしまっては困ってしまうはずだ。メニューを設けてコンテンツ全体をツリー構造に配置しておくことができないのだ。これを解決しているのがやはり、「ページ機能」ということになる。
ページ機能は高機能なブログソフトが持ち始めている機能の一つだ。そこで、MovableTypeやWordPressが選択されることとなる。上にも書いたが、地方においてホームページを作る際にかけられる費用を考えてみれば、まず第一の選択肢がWordPressとなることは、利用を述べるまでもない。
しかも、ブログエディターという強力な助っ人を活用することもでき、「簡単に作れる」という要求を更に満たしてくれる状況にある。「承認ワークフロー」などという大げさなものはないが、担当が作ったコンテンツを責任者が「公開」すればそれに近い機能を持つことも可能だ。工夫次第でさらに高性能化できる余地を含んでいるWordPressは、地方の中小企業が利用してい見る価値は十分にあるCMSだと考えている。



